自死について思う事2
20代の患者さん。
鬱状態が酷く、家族が心配して入院相談
入院してから3ヶ月後には、他者とのコミュニケーションも図れるようになり、自ら外出出来る様にもなった。
看護師にも、その時々の心情
辛い、楽しいを表現出来る様になり
仲の良いスタッフと恋愛について話したり。
未来に向かった夢や希望を口にする事もあった。
それでも、複数回の自宅への外泊や退院後の作業所への練習も兼ねた外出を繰り返した。
入院から半年後のある日
その日は祭日であった
夜勤明けのスタッフに午前中の外出を希望された
珍しい事では無かった為、行き先や目的を聴き取り手続きをした。
お母さんとおばあちゃんの御墓参りに行きたい、帰りに服を買ってカフェでお茶をしてくると。
日勤帯に入り送り出す。
いつもと変わりない笑顔、表情、様子。
何の疑いもなく、いつも通りの可愛い彼女だった
その後、部屋の受け持ちが検温で回っていると同室の患者から
昨日ね唐突に、いつもありがとうって言われたの、、、様子はいつもと変わりなかった。
でも少し寂しそうにして、お母さんに会いたいって言ってたの。なんか、気になっちゃって。
何となくザワッとしたものが胸をよぎったスタッフが彼女のベットに行くと。
几帳面な彼女が外出するのに、テレビ付けっぱなしで、タンスの一番下の引き出しが半分引き出されたまんまだった。
開けてみると、沢山の鶴の折り紙がそこにあった。
一つ一つ手紙になっていた。
家族や友人、スタッフ1人1人に宛てた内容だった。
すぐさま、彼女のケータイに電話を入れる。繋がらない。
警察、主治医に連絡。
出掛けてからまだ30分
院内にもしかしたら、いるかもと探しに行く。
出掛けてから1時間、病院最寄り駅から1駅先の駅で人身事故があった。
特急の止まらない駅で。
嫌な予感が全員に走る。
その1時間後、警察から連絡あり
彼女が特急列車に飛び込んだと。
持ち物のカバンに外出の許可書が入っていたのとウチから連絡があったのでスムーズに連絡できた様だった。
父親が確認しに警察へ行った。
特急だった為、ダメージが酷かった様であるが確認出来たと。
数日後、退院手続きに来られた家族は皆、睡眠、食事ろくに取れていない様でやつれていた。
鶴で織られた手紙をそれぞれお渡しする。
皆頷きながら、何度も何度も読み返している。
涙で読めない手紙を何度も目で追っていた。
最期の帰り際に、父親宛の手紙を見せてくれた。
父親との思い出や感謝がそこには綴られていた。父親の持病を心配する言葉も。
最後は、この病院に入院させてくれてありがとうと。
同世代のスタッフは友達の様に
お父さん、お母さん世代のスタッフは笑っちゃうけど本当のお父さんお母さんが言う事と同じ事言ってた。
おばあちゃんみたいに優しいおばあちゃん患者さんもいて
ここにいると、皆んなが元気だった仲良しだったあの頃を思い出すと。
自分は本当に幸せで愛情に包まれていたと。
この手紙はいつ死んでもいい様に書いたのだという事がかかれていた。
日付は3カ月前だった。